不動産の賃貸借契約において、契約で定められた期間の中途において、賃貸人が賃借人の意思に反して解除することはできないことはよく知られています。
では、賃借人からの中途解約は、どうでしょうか。
不動産の開発や仲介業に関わっている人でさえ、賃借人の側からは、いつでも解約の申し入れができると思っている人がいますが、正しくありま
せん。
賃貸借の期間は、賃貸人だけではなく、賃借人も拘束するものです。賃借人が中途解約するためには、それを認める契約条項が必要であり、当然には解約できません。
なお、借地借家法38条6項には、居住用定期建物賃貸
借につき、一定の理由があることを要件に賃借人側に解約の申し入れができることを定めた規定があります。これは、賃貸借契約期間は、賃借人も拘束し自由に解約はできないことを前提としています。
中途解約条項もそうですが、契約を結ぶときは、賃貸人賃借人いずれの立場であっても、よく契約書を読んで各契約条項の意味をよく理解するようにしましょう。